2008年9月22-28 タイ北部撮影・採集遠征
中尾健一郎
今回のライトトラップ用機材:100Wクリアー水銀灯1灯、安定器、20W誘蛾灯2本、40W電球型昼白色蛍光灯、180W車用DC/ACコンバータ、330W220→100V変圧トランス、折りたたみ鋸、はさみ、麻紐(緑布セット用)
撮影機材:Canon Kiss DigitalX, 60mm F2.8 Macro,だけ、Compact Flash 計10GB。
採集用機材:今回は捕虫網、酢酸エチル殺虫管も用意、糖蜜用スプレーは今回使わず、以上の重量27g
日時場所
9/21
バンコック
今回は夕方6時のANAでバンコックへ。少し遅れて10:30頃バンコック着。予約していた空港近くのホテルに移動、タクシーを使わずリムジンにしたのは失敗。往復\4500も使うことに。シャトル使えばタダだった。ホテル自体は値段の割にはお勧め。部屋の設備は満点。内装上品。
9/22
チェンマイ
朝のタイ航空便でチェンマイに移動。空港で国内線側出口に出たのは失敗。スーツケースは国内線側に出ていたので、ターミナルを移動するはめに。さらに失敗はレンタカー、大手と思ってHerz予約したのに、何と空港内に受付カウンター無し。ピックアップを頼むが、これが中々来ない。結局、空港近くのオフィスに着いたのは何と1時間半も後、今回はHondaのcity 1500ccを借りることに。
9/22
Doi Inthanon
A地点
今回、前半はタイで最も高いDoi Inthanon周辺での採集を決めていたので、空港から市内に入らず、南に移動。Chom Thongに案内板あり西に向かう。Doi Inthanonは全山がNational Parkになっており、入口のゲートで430THB(\1500程度)支払う。タイの富士山的山なので、道路、案内板は完全整備。1時間ほどでPark Headquarter地区に到着。宿泊施設を質問して、Ringer Hatt(民宿)を案内される。一泊500THB(\1700)、部屋はおそまつ。開けた場所なので、持参したトランスをつないで水銀灯をセットしたが、これが全く役立たずに終わった。周囲にビニールハウス温室が並んでおり、電照菊の栽培をやっていることが、夜間採集場所から帰った時にわかる。つまり、夜は、周囲は明かりの海。
部屋の前に白布をセット。
結局役立たず。
バイク用の東屋に
緑布をセット
点灯直後飛来した
超小型クワガタ
Senary Point (展望台)の案内板に従って、Park Headquarterの南の山に上がる。展望台らしきところの周辺はほぼ完全な松林で、諦めて、その先の分岐点のビニールシート屋根付きのバイク用東屋でナイターやることに決定。周りは林で見晴しは良くない、峠の鞍部であることに期待。点灯後1時間程度までは予想通り、飛来数少ない。しかし、8時を過ぎるころから蛾の数は増加、スズメガ、オビガの大型種も増える。雨も降り出したが、飛来数は増えるばかり。場所としては予想以上の成果。
Goniorhynchusの1種?
今回もノメイガ多種飛来
コケガも小型だけれど
美しい種多く楽しめます
ボルネオではトガリバは
数種しかいなくなるが、
タイでは多少種が多くなるようです.
ウスベリケンモンが20種近くいるらしく、左から、Trisuloides luteifascia, Tambana albiplaga, Anephorcia pygaria どれも後翅は黄色
お馴染みPlutodes これでもカレハ
Cerberolebeda styx
日本との共通種達、スカシエダシャク、ハグルマヨトウ、シンジュキノカワガは当然として、ウスヅマアツバなんてのがこんなところまで分布しているんですね.
9/23
Doi Inthanon
A地点
昼飯後、Doi Inthanonの山頂に向かう。2度目のゲートを過ぎるあたりから、樹相が変わり、着生植物、が多くなる、さらに降雨量の多い森という雰囲気。道路の周囲にはこのような素晴らしい自然林が続くが、残念ながら、ナイターを出来るような場所は殆どない。山頂近くには立派な案内所、小さな食堂、土産物屋まであり。観光客も多い。その少し先の山頂には"The Highest Point of Thailand 2565mの表示と祠まであり。山頂自体は森の中で見晴し悪い。しかも近くにはレーダーサイトまであるので、ここでのナイターは諦め。結局、Park Headquarterまで1km程度の場所まで降りて、ナイターセット。期待して、点灯し、しばらくしたころ、SUVが停車し、降りてきたのはPark Ranger, 恐ろしく下手くそな英語で「ここでやるのは止めて下さい」と話す、「もっと、ちゃんと英語を話してくれないと何言っているのか分からないが、虫の写真撮っているだけなのになんでいけないんだと押し問答」、英語が続かなくなったらしく、それ以上は言葉無く、車で移動してしまう。続けても良かったけれど、「写真だけ」というのも今日は嘘になるので、我慢して昨日の場所に移動。時間ロスしたので、採集数は前日より少。
今回、昼間採集したただ1種の
マダラガHerpa luteoraタイ北部に分布する種
タイの最高地点の表示板と頂上の祠
Inthanonは昔の王様の名前とか
ハガタマエチャナミシャク?
共通種
マエアカヒメシャク
シャチホコ
Niganda
donella?
Kew Mae Pan遊歩道入口の駐車場トイレを覗くと、薄黄色いマダラガ、まだ見たことない種だったら、帰国後調べると、Herpa luteola, タイ北部に分布する種らしい
9/24
Doi Inthanon

B地点
今日は、標高低い場所へ移動。途中の道路分岐点に川沿いの空き地でしかも雨宿り用東屋まである絶好の場所を見つける。夕方まではかなり時間あるので、お土産用の蝶を採集することとする。エビスグサのようなマメ科の植物、花が多数あり、ウラナミシロチョウの類が飛び回っている。もちろんこんな種は採集せず。草地にはキイロタテハモドキ、少し木陰にはエルムニアス(マネシジャノメ)、オジロイナズマ類、高木にまといついているウマノスズクサの周りはキシタアゲハが飛び回る。夕方になり期待して点灯するが蛾の飛来は期待はずれ、Actias seleneの一応完品に近いもの飛んで来たので、しっかりと止まった後、撮影に成功。9時すぎて予想もしていなかった風が吹き出し、「緑布」の上の蛾を吹き飛ばす。しばらくして、それ以上のナイターをあきらめ。
後翅が金緑色の
カワトンボ、
どこの小川でもいます
ナイター常連の
緑色に透きとおる
小型カマキリ
今回Callambulyxは
これだけ
amandaかな?
東南アジアの
常連ヤガ
Hamodes propita
普通種でも
完品はうれしい
Actiasselene
秋にもいたCraspedortha
ミミモンクチバが
私の汗を
吸っているところ
透き翅の
イラガ?
止まっていると
イヌの顔
Labeda cognata
タイで出会った
カワゴケミズメイガ
9/25
MaeSon
National
Park
C地点
北のチエンマイ方向に戻り、4月に1晩ナイターやったMaeSon National Parkを目指す。ここはThai Bug Comのサイトを運営しているMr.Mooreのホームグランド。Doi Saketの町の手前で彼に電話すると、運よく在宅。近くの宿を教えてもらう。昨日、ナイターをやったら、Numerous Mothsが来たとのこと。宿のHappy Houseで一休みしたあと、車で15分程度のView Pointへ、海抜1500m程度か、Mr. Mooreが作ったらしい、竹製の架台がありこれに緑布を張る。ここはこのR1252沿いで最高の場所。見渡す限りの自然林を見下ろす。6時半に点灯すると、蛾の飛来も始まる。4月にはコガネムシ類と、カミキリが多かったが、甲虫の今回の主役は翅の黄色いゴホンツノカブトムシ、これが雄雌で大量に飛来。蛾の撮影の邪魔をするし、首にでもしがみ付かれると、取り外すのにかなりの痛みを覚悟。徹夜でも続けたかったが宿の管理人が門のゲートを開けて帰りを待っているため2時で消灯。
ViewPointからの展望とMr.Mooreの架台に張った緑布 今回のじゃま虫
ゴホンツノカブトと
それより小型のカブト
今回の新顔
Ampelophaga
dolichoides
リンガのTitlcia sp?
上品に美しい
ボロの
Amplypterus
mansoni
ウスベリケンモン
最大種
Trisula variegata
Scopula美麗種
金子さん行き
これも
Plutodes?
派手な
Idaea?
銀色部分が
盛り上がってる
Titulcia confictella
個体数、
種とも多い
コケガOxacme
西表でも
出会った
コヤガ
カレハのPyrosis rotundipennis♂
9/26
MaeSon
National
Park
あまりにも絶好の場所なので、連続して本日もView Pointでナイター。顔ぶれはあまり変わらないのだが、昨日、撮影しなかった種も多数いるので、無駄にはならない。
宿に帰るが部屋の前の水銀灯に飛来しているがはとても少ない。何しろ、宿の中には蛍光灯がいっぱい点灯されており、100W1本では役立たず。それでも標高低いので飛来する蛾の種は異なる。

C地点
ドクガLymantria naridra
巨大♀
オオルリオビクチバ類は
種が多く同定困難

Ischyjainferna?
標本より美しい
S. comatus
カギバ
新顔
コケガ
新顔
Tamba
euryodia?
オオカギバ亜科 アツバも
美しい種がいて
楽しい
ナタモン
のようです
鳥糞シャチホコ
F.orbifer
緑色小型種
未記録種?
カキバトモエ属
Hypopyra
retorta
9/27
MaeSon
National
Park
最後のナイターだったが、前日、帰りの片付けの際に貴重な大型電球型蛍光灯を破損してしまい。新しい場所を探す気力なくなる。結局、3晩続けて同じ場所となった。20Wの誘蛾灯2本だけだが、蛾の数はそれ程変わらない。最後でもあり少し早めに1時に消灯。

C地点
ボルネオにもいた
奇妙なフトメイガ?
ナイターにくる
カマキリ様々
T.malayanaが
翅を開いて
くれたところ
コケガ
Barsine
pallinflexa
リンガ
Tathothripa
continua
静止姿勢は
シマメイガ
のようですが?
ウコンエダシャク類
Corymica sp
比較的
大型フタオ
真赤なカレハ
Alompra roepkei
何種もいる
トゲトゲ
クビキリギス類
リンガ
Tyana
marina
コケガ
Barsine sp
9/28
Doi Suket
チエンマイ
Happy Houseをチェックアウトし、チェンマイに帰りながら蝶を採集することとする。だが、R118はこのあたりではハイウエイ的な大きな道路のため、道路わきに車を止めて採集する場所が殆どない。ようやく、小さな川が流れ、小道のある場所を見つける。中に歩いてゆくと、足元からハンミョウかハエの様に飛び出すのはオジロイナズマの雄、雌。 雌雄で斑紋は全くことなる。残念ながら新鮮個体は殆どいない。メスアカムラサキ♀に似たエルムニアスのぼろも採集。でも私の歳では素早い蝶をネットに入れるのは一苦労。
チェンマイの西のDoi Thutepに車であがり、展望台から町を眺める。ここも樹林は素晴らしいが、なにしろ町の裏山なので、ナイターには不向き。
予定の夕方6時に、レンタカー屋に無事到着。
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