2010年4月4-11 スラウェシ遠征  (沼田、宮野、中尾)
今回のライトトラップ用機材:220V650W発電機、250W水銀灯1灯、白布(現地のガイドさん用意)、いつもの通り中尾も20W誘蛾灯2本、40W電球型昼白色蛍光灯、320W車用DC/ACコンバータ、330W220→100V変圧トランス、白布持参するが殆ど使うことなし
撮影機材:デジカメ、パナソニックLumix DMC-G1:G2発売の前の型落ち品、初のマクロフォーサーズ規格1眼、投げ売りされていたのを購入、でも夜間の蛾の撮影にはお勧め。標準ズームレンズ14-42mm/F2.5-5.6,, 1万円もしないおまけレンズだが、性能は優秀、風景撮影には十分、マクロレンズLEICA DG MACRO 45mm/F2.8、大きさの割に高価なレンズ、解像度すばらしく、キャノンの60mm/F2.8マクロを超えるかも。外付けパナソニックストロボP28、接写用の外付けとしてはこれ以外なし。SDHDカード 計12GB。
採集用機材:六本脚で売っていたプラスチック殺虫管、絶対に割れる危険性なく、遠征用にはお勧め。酢酸エチル160ml程度、糖蜜用スプレーも用意したが今回も蛾は飛来せず。携帯用の採集ネットセット
日時場所 画像とコメント
4/3
成田
8:30前にに成田第2ターミナルのガルーダインドネシア航空カウンター前に、平塚の沼田氏、岐阜の宮野氏と集合。3人一緒にチェックイン。今回の荷物重量は3人合わせて62kg、ガルーダのエコノミーは一人20kgまでだが、2kgオーバーの追加料金は請求されず。宮野氏と私は一番安い保険に一応加入。機体はエアバスの330だが、土曜の便のためか、満席に近い。ガルーダにしてはほぼ定刻に離陸。
4/3
バリ
バリ、デンパサール空港に6時ごろ着陸。予約しておいた、空港近くの日本人経営のこじんまりとしたHotel Alitzにチェックイン。3人相部屋でたったの7千円程度しか払わない客なのだが対応は極めて丁重で感じよい。バリは沼田氏のホームグランドであり、空港近くのKutaの繁華街に案内していただいて今回の遠征最初のインドネシア料理を楽しむ。
4/4
マカッサル
早朝のバリ発のフライトでスラウェシのマカッサル空港に到着。RudiさんとJasmin氏の弟が出迎え。直ちに北に向かい出発。何しろ、目的の採集地Puncak Palopoはマカッサルの200km以上のスラウェシ中部。バスでは10時間以上という長距離ドライブ。途中のParepareまでの道は半分工事中のようなもの、スピードだせない。Enrekangを過ぎるあたりから周囲は山間部。ただどこまで行っても集落が途切れることは無く。秘境という雰囲気は皆無。
4/4
Puncak Palopo
Tana Traja地方の中心の町、Rentepaoに到着したのは既に4時過ぎ。同時に雨が降り出したが、集中豪雨並みの激しいスコール。スーパーマーケットで多少の食料品購入後目的地のPuncak Palopo(峠)に向かう。通常は峠付近でナイターだが、本日はポリスから採集承認もらう時間が無いということでPuncak Palopo集落のDaraさんのお店に立ち寄り、採集してあった蛾の標本見た後、本日の宿に向かう。この集落は西山氏標本ネットワークで生計を立てている「昆虫採集村」。宿の玄関側はまともだが、Rudiさんが危険だという裏庭側にまわると、納得、豪雨による地すべりで庭が半分既に崩落している。だが、ナイターにはあまりにも絶好の大場所のため、しり込みする沼田氏をなだめて、とりあえず本日はこの宿のベランダに白布をセットすることにする。大雨の後にも関わらず、点灯後、順調に蛾の飛来が始まる。私はいつものように生態写真撮影の方が優先。Daraさんの採集品中にあったヒエログリフ蛾も飛来し写真撮影。ところが、交換したバッテリーの充電を始めたところで、トラブル発生。充電器が故障。残りのバッテリーを温存するため、写真撮影は当分中止、標本採集を優先することに。
Puncak Palopoの集落 Dara氏の売店 売店で夕食 Hippotion brunnea
今回多数飛来
スラウェシ独特の
コケガCyana
Baorisa hieroglyphica
初の生態写真
ヒトリガ? 白黒パターンのアツバ
4/5
Puncak Palopo
午前中は吹き上げの昼蛾を狙いたいという私の提案を聞いてもらい、Palopo側にに下った場所へ移動。渓流沿いに上がってゆくのだが途中何箇所も河渡り、膝近くまで流れにつかることしばしば。宮野氏と私だけがガイドについて行く。1km程度の所でガイドが先へ行くこと止める。今日は日がでていないので吹き上げ見込みありませんということ。かれは河原に青い銀紙を置いてアゲハ狙い。宮野氏はスカシバトラップ。直ぐに1匹飛来。私にはガイドが河原にいたらしいセセリモドキを採集してくれた。
Puncak Palopoの宿はあまりにも危険だということで、Rantepao途中の峠の売店でナイターを行うということになった。売店は標高1100mの鞍部にあり、両側は絶好の自然林が足元に広がる。売店の裏側に白布をセットしたが、足元は雨で湿地状態。蛾の飛来数は多いのだが、時々雨が激しくなる状態が続き、採集意欲は盛り上がらない。10時過ぎには消灯し、Rantepaoに移動。ホテルは町の中心部にあり、お湯の出るシャワーを楽しむ。
Puncak Palopo宿からの眺め 中尾の持参セット
結局この日だけ
宮野氏ミクロ展翅中 Puncak Palopo宿正面
吹上狙いの川渡り スカシバトラップと
宮野氏、1匹飛来
Palopo峠売店横の
ライトトラップ
4/6
Puncak Palopo
昨夜の採集品をホテルの冷蔵庫に保存してもらい、町の市場の探索、沼田氏にとっては懐かしく、宮野氏と私にはもの珍しい果物・食料品の買い物を楽しむ。日本の1円がここでは約100ルピア(Rp)。全ての商品がとても安く感じられる。夕方4時頃再びPalopo峠の売店に到着。Garaさんは発生期は5月といっていたが、雰囲気としてはミリオネアに最適の条件であり、峠でネットを持って待っていると、梢を移動するミリオネアの姿を確認。その後、数回目撃したが、高く早く飛ぶので採集諦める。この晩は売店の反対側にナイターをセットし点灯するが、沼田・宮野両氏は売店から出てこない。中を覗くと、薄暗い中でバイクで来た魚の仲買人さん達とドブロク宴会の真っ盛り。私だけデジカメトラブルのためひたすら採集に集中。。
Chalciope mygdon
スジボソサンカククチバ類似種
斎藤さんへの
お土産カミキリ
いつもの
Amplypterus panopus
Hippotion rafflesii?
4/7
Puncak Palopo
Rudiさんに、Daraさんの採集品を購入する為、午前中、Puncak Palopo集落に再度行くことお願いしたところ、何と連絡もしないのにGaraさん夫婦が蝶とミリオネアの標本をホテルに持参して売り込み。取りあえず、ミリオネア全品を購入し、その他の蛾も見るためPuncak Palopo集落に向かう。残念なことに採集しな採集品は殆ど我々が今回見かけたものばかり、ほんの少しの、シャチホコ、ヒトリガなど購入。今夜も雨降りの気配あったが、いつもナイター採集場所に使っている教会があるということで、そこに向かう。確かに屋根つきの白壁で雨除けには理想的。集落の子供・大人の多数の見物人の中ナイターを楽しむ。
スラウェシのイボタガ
B. celebensis
Bastillaアシブトクチバ美麗種 私には新顔だが普通種のヒトリモドキ ボルネオと共通のO. pallescens
スラウェシ固有種Ambulyx tenimberi Eudocima dividensの♀ マルハキバガPromalactis sp 購入標本ではなじみだが現物は初めて
4/8
Bantimurung
朝8:45頃、Rantepaoのホテル出発しマカッサル方面に戻る。往路と同じロングドライブ、Bantimurungとの分岐点のMaros到着は既に夕方4時半過ぎ。Rudiさんの提案に従い、空港ホテルへのチェックインは後回しにして目的採集地のGunung Makaroewaに向かう。途中は石灰岩山地でPuncak Palopoとは多少雰囲気違う二次林。5時半ごろ山頂の送信所に到着。見晴らしはあまり良くないが夜間採集場所としてはやはりかなり理想的な場所。直ちにライトトラップをセット。蛾の飛来数はそれ程多くは無いが、ミクロを主体にして種類数が多いので、宮野氏は大忙し。Rudiさんが運転に疲れ、家に早く帰りたいということで11時頃消灯。
公園入口の巨大なP. bulmeiのゲート Jasmin弟とRudiさん Rudiさん、その2ndワイフと沼田氏 Mt.Makaroewa山頂のナイター設定
4/9
Bantimurung
今回の遠征の最後のナイター、前日と同じ、Bantimurung NPのGunung Makaroewaへ3時ごろ到着。午後4時頃山の上に飛来するデリアスとホウジャク類を狙う。送信所の周囲にはランタナの花が多数咲いているが、霧がかかった状態で残念ながら飛来するもの無し。天候は回復し、久しぶりの夕焼け。6時に点灯。蛾の顔ぶれは昨日とほぼ同じだが、採りこぼしもあり飽きることは無い。最後のナイターなので私は残りのバッテリーを使い生態写真の撮影。
スンダランドにはいないArtena ミズメイガの美麗種 前翅前縁の突出したナミシャク? ボルネオでは見かけないLyclene属コケガ
4/10
Bantimurung
本日も早朝から宮野氏はミクロの展翅。ほぼ終了したころ、Rudiさん達が車で到着。今回のガイドの元締めであるJasminさん宅で、採集してあるという蛾の標本を見て購入することになった。最初に出されたのはミリオネアのストック標本、1種だけマダラガの  が混ざる。次に出てきたのが、箱いっぱいの、「その他蛾」。我々の來島に先立って、Jasminさんの配下4人がかりで発電機をMakale付近の山に運び上げて採集したということ。シャチホコ、ヒトリガ、スズメガ中心に1箱程度拾い出す。その他の蛾の種類は我々採集したものと大体同じパターン。その後、Bantimurungの公園前のRudiさん宅で昼食。2万RP支払って公園内に入り、滝を見学。土曜日のため、マカッサルからの現地の観光客多い。4時半頃空港到着、標本持ち出しにはトラブル無く、無事チェックイン。デンパサールで夜行便のGA880に乗り換えて成田に向かう。
Bantimurungの公園前でうられている大量の蝶標本 公園内の滝、子供たちが滝下り楽しむ 西山氏の建てた昆虫展示館 マカッサル空港までRudiさんが見送り
4/11
成田
朝8時過ぎに予定よりやや早く成田到着。これで今回のスラウェシ遠征は無事終了。沼田さん、宮野さんご苦労さまでした。私は多摩の旧宅に帰り、早速、ラベル作りと展翅を開始。
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