Remark |
本種以下の4種は, 属Triaenaの主体をなすもので, 2種はユーラシアの広域種, 2種は東北アジア温帯の特産. ほとんどの種に多少の季節的, 性的な差異があり, 同一地に2種以上混在することもあるので同定に慎重を要する群である. ♂♀交尾器にも多少の変異幅がある. 両種の区別はもっとも困難である.本種は一般に次種よりは小型で, 開張37-43mm程度. 前翅の翅型はやや短いが, 明確な識別点とはなりがたい. 斑紋にはほとんど差異がないが,次種のような平坦な灰黄色をおびる個体は現れない. ♂の後翅1は化の個体では白色に近く,2化では翅脈は暗色を呈し, 外縁に暗色部を表す. ♀の後翅は強く暗色を呈する. ♂交尾器のU字形をなすjxtの2つの裂片は基部から後方に向かってほぽ平行し,弧状をなさない点で安定した次種との区別点となる. Valva腹縁のharpe-complexの外方へ向かう枝は次種よりも一般に短く, 鈍い傾向があるが, 個体差も大きいので, その利用には熟練を要する. 充分な材料が検討された地域では本種はむしろ次種よりも普通に産することが判明している (例えば宮城県など). 北海道では十勝地方で検出されているが, 産出状況はなお定かではない.
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