Remark |
開張: 20-27mm. ♂の触角は繊毛状, 各節の1対の刺毛は長い. 下唇鬚は長く鎌状に上反し,
特に♂で顕著. これらの形態は本属の日本産の種では共通. ♂の前翅前縁の表面には基部から細い溝を形成し,
中央から3/4までは狭い costal fold を有し, R1脈は消失する. ♂の前脛節は比較的長い鱗粉に覆われ太くなるが,
あまり顕著ではない. ♂の斑紋は不明瞭で内横線と外横線の間の淡色部もほとんど目立たないものが多いが,
♀ではその淡色部が明瞭となり, 特に南西諸島のもので顕著である. 本種は次種と分布域が重複し斑紋での同定はむずかしいが,
次種に較べ翅型がやや細長く, 翅の表面は滑らかな感じでやや光沢がある. 一方,
次種では翅型がやや丸味を帯び短く, 翅の表面は粗く鱗粉に覆われ光沢がない.
♂交尾器 は他の種と明瞭に異なり, ♀交尾器も ostium bursae の骨化部が4本の突起に分かれることはなく区別は容易.
本種は緒方(1958)ではH. morosa
Butler として図示されている. 異名ソトウスモンアツバ.
属 Hydrillodes は小型の地味な蛾で, 熱帯アジアを中心に多くの種が知られているが, まだ十分に調べられているとはいえない. 本属は, 前翅のM2,
M3, CuA1脈が長い共通の柄を有する特異な翅脈相をもち, また, 前翅のSc脈が前縁に近接することも本属の特徴といえる. ♂の前翅前縁には costal
fold を有するものがあり, その発達に伴いR1脈が退化する傾向があり, 特に発達した種では他のR脈も著しく変形する.
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